退職金課税の見直し
政府は、同じ会社に長年勤めるほど優遇される退職金への課税制度を改めようと考えています。(決定ではありません)
現在の日本の退職金に対する税金は、勤続年数が長くなるほど得をするような計算方法となっています。
それを政府は、見直そうと考えているようです。
見直しをする理由は、もっと多くの人に転職をしてもらい、労働人口を巡回させたい狙いがあるようです。
転職すると勤続年数が少なくなってしまい、そのため退職金が減ってしまうとなると、人々の転職する意欲を下げてしまうのではないかとの観点から見直しを考えているようです。
確かに、退職金が減るのは嫌ですね。
ただどうでしょう、退職金が減るから転職をしないというふうに考える人はどれだけいるでしょうか。
転職をするかしないかを考えるときに、退職金のことまで考える人は稀ではないでしょうか。
転職を考える人は、一緒に働く人であったり、労働状況や労働待遇などによって転職を考えると思います。
退職金まで考える人は、果たしてどれだけいるのかなと僕は思います。
退職金にかかる税金(所得税と住民税)
退職金には税金がかかります。
かかる税金は、所得税と住民税です。
退職金にまで税金がかかるのかよって感じですよね。
最後くらい気持ちよく退職させてほしいものです。
ですが、ここは税金大国日本です。
今更そんなことを嘆いても仕方がありません。
今ある環境に順応していくことが賢い生き方です。
少し話がそれましたが、退職金には所得税と住民税がかかります。
退職金にかかる所得税と住民税の計算方法は以下のとおりです。
①所得税の計算
所得税=退職所得×所得税率
パッと見は簡単そうですが、退職所得を求めるのが少し面倒です。
退職所得は退職金から控除を差し引いて求めます。
控除は勤続年数によって変わります。
①勤続年数が20年以下の場合
退職所得控除額=40万円×勤続年数(退職金が80万円以下の場合は80万円全額控除)
②勤続年数が20年超の場合
退職所得控除=800万円+70万円×(勤続年数−20年)
そして、①もしくは②の控除額を上回る退職金の場合は、控除額を上回る退職金を2分の1にした金額を退職所得とします。
これが退職所得の計算です。
この退職所得に所得税率をかけて、はれて退職金に対する所得税が求められるわけです。
所得税率は5%〜45%で、退職所得の金額により所得税率はそれぞれ異なります。
②住民税の計算
退職の住民税の計算は以下で求められます。
住民税=退職所得×住民税率
退職所得の計算方法は所得税と同じです。
住民税率は一律10%なので、退職所得を求めればあとは10%かければ住民税が計算できます。
【ケーススタディ】
仮の退職金を設定して所得税と住民税を求めてみましょう。
Aさん退職金800万円 勤続年数15年
Bさん退職金2,000万円 勤続年数40年
①Aさんの場合
Aさんは勤続年数15年で20年以下であるため以下の計算式を用います。
退職所得控除額=40万円×勤続年数(退職金が80万円以下の場合は80万円全額控除)
40万円×15年=600万円
退職所得控除額は600万円であるため退職所得は以下のようになります。
800万円ー600万円=200万円
この200万円をさらに2分の1にするため
100万円
Aさんの退職所得は100万円で、100万円の場合の所得税率は5%です。
つまり
100万円×5%=5万円
Aさんの所得税は5万円
住民税は一律10%なので
100万円×10%=15万円
Aさんの住民税は15万円
結局Aさんが受け取れる退職金は以下のとおりです。
800万円ー5万円ー15万円=780万円
退職金800万円のAさんの退職金受取額は780万円となります。
続いてBさんです。
Bさんは勤続年数が20年超であるため以下の計算式を用います。
退職所得控除=800万円+70万円×(勤続年数−20年)
800万円+70万円×(40年−20年)=2,200万円
Bさんの退職所得控除は2,200万円であるため、退職所得は以下のようになります。
2,000万円ー2,200万円=▲200万円=0円
退職所得は0円となるため、Bさんは退職金に対する所得税も住民税もかからないことになります。
退職金2,000万円のBさんの退職金受取額は2,000万円です。
退職金が多いBさんの方が税金をたくさん引かれそうですが、勤続年数が長いためむしろ税金は課税されません。
このように現在の退職金は勤続年数が長い人ほど優遇されるように計算式が盛り込まれているんです。
控除を減らせば増税となる
先の計算でお分かりのように、退職金は勤続年数が長いほど控除が受けられて、そのため退職金に対する税金が低くなります。
勤続年数が長くならば控除額を大きくなるので税金が低くなるのです。
この控除の計算を変更しようと政府は考えているのです。
政府のやることはいやらしいですね。
単純に退職金に対する税率を上げたとすると、わかりやすく税率が上がってしまいそれにより国民からのバッシングを受けやすいです。
そのため、同じ増税の結果になろうとも、単純に税率を上げるのではなく控除の金額を下げることで税金を多くしようと考えているのです。
政府が考える計算式は頭が痛くなることが多いですが、頑張ってついていかないとダメですよ。
そうしないと多くの税金を払うことになってしまいます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
退職金は数ある所得の中でもかなり税制優遇が施されています。
その退職金も今後は増税となってしまうかもしれません。
まだ確定事項ではありませんが、お勤めされている人にとってはとても大切なことであるので、今後も目が離せないトピックスであることは間違いありません。
本日は一読してくださりありがとうございました。
みなさんのお金と心が豊かになることを願っています。
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